乾燥やアレルギーでお肌に悩みをもつ人が増え、オーガニック化粧品を探すケースが多くなっています。しかし、オーガニックが市場に占める割合はまだ5%ほどにすぎません。それでもオーガニックは年々6~7%ずつ成長をつづけています。それだけお肌の悩みが増えているのです。
書店の店頭にならぶ女性誌を手にとってみると、化粧品の広告ばかりが目につきます。ほとんどケミカルコスメで埋め尽くされています。「翌朝には肌がもちもちしっとりを実感!」などと、すぐ買いたくなるような言葉がならんでいます。しかし、使われている成分のすべてはまったく書かれていません。「植物成分を配合」とうたわれていても、ケミカル成分に配合されただけなら意味がありません。
即効性を示すものには、ほとんど合成界面活性剤や合成ポリマーが使われています。これらの成分がこわいところは、知らないうちにじわじわと肌を傷めてしまうことです。5年も10年も経ってはじめて症状に慌てるほどで、それが化学成分によるものだと気づかないうちに進行してしまうことです。
これらの化学成分は肌のバリア機能を壊して、肌の奥に美容成分を浸透させています。それが肌に有害なものだと知る人も少ないのです。バリア機能が壊れると肌の水分が蒸発して、乾燥しやすくなります。外部からのアレルギー物質も入り込みやすくなり、肌荒れや肌トラブルの原因になります。さらに未成熟な皮ふの生成を繰り返すことで肌が薄くなり、水分をためる能力が落ちていきます。これが乾燥肌や肌トラブルの大きな要因です。そうした肌悩みから脱却するために、オーガニック化粧品が注目を集めるようになったのです。
健康な肌とは、バリア機能がしっかり働き、水分の蒸発を防ぎ、アレルギー物質の侵入を跳ね返す肌のことです。よい化粧品とは、肌の組織を壊して中に何かを入れるのでなく、健康な肌をしっかりと守り、元気にする化粧品であるべきなのです。
オーガニック化粧品は、農薬や化学肥料を使わず、有機肥料で育てた植物から生産されるため、とても手間とコストがかかります。大量生産ができず、主力のケミカルコスメを自己否定できない大手メーカーは乗り出しません。このためオーガニックは小規模メーカーばかりで、市場全体もまだ大きくありません。ドイツなどからの輸入品も増えていますが、気候風土が異なる乾燥の強いヨーロッパの化粧品が、必ずしも日本人の肌に合っているとはいえません。日本人の肌に合った国産のオーガニック化粧品が求められる理由です。肌の悩みから解放されるには、オーガニックの普及が進み、市場のシェアがもっと高まる必要があるといえます。