自分は乾燥肌だと思っている日本女性が80%にものぼるといわれています。とくに冬は空気の乾燥も加わり、乾燥に悩む人がぐんと増えます。肌に潤いがなくなり、カサついてお化粧の乗りがわるいと朝から気分まで落ち込んでしまいます。乾燥は、シミ、シワ、ニキビ、吹き出物といった肌トラブルの入り口でもあるので、早めの対策が必要ですね。でも、乾燥から脱けだすにはどうすればよいのでしょうか。保湿化粧品をふやすことでしょうか。すぐに始められることは何でしょうか。
合成界面活性剤に要注意!
それにはまず原因をしっかり押さえることです。原因がわかれば対策もしやすくなります。最大の原因と考えられるものに、化粧品に含まれる化学成分があります。ラベルにはカタカナで書かれた原料がたくさん並んでいます。ちょっと見ただけでは判断がつかないものが多いですね。その中でも、とくに気をつけたいのが合成界面活性剤です。これは自然界にないもので、台所洗剤と基本的に同じ成分です。アトピーなど肌トラブルを悪化させてしまう懸念もあります。
合成界面活性剤の種類は、いまや1000を軽く超えています。とても便利な成分なので、保湿剤、浸透剤、洗浄フォームやクレンジング、クリーム、乳液、殺菌剤などさまざまな用途に使われています。まず美容成分を肌の奥に送り込むために、浸透剤として使われます。肌には外部からの刺激物を入れまいとするバリア機能があり、これを突破する必要があるからです。バリア機能が壊れると、肌を潤している水分が蒸発しやすくなり、乾燥肌の原因になります。逆にアレルギーなどの有害物質が侵入しやすくなります。これを防ぐのに使われるのが合成ポリマーです。
合成ポリマーにもたくさんの種類があり、肌の表面に薄いビニール状の被膜をつくります。すると一見つややかに潤ったようにみえますが、それは肌に貼りついたビニールの艶やかさであり、肌そのもののつややかさではありません。使用をやめて1週間もすると、素肌は使用前よりシワが目だってしまい、化粧品を使いつづけるしかなくなります。ビニールでふさがれた肌は、皮脂の分泌が正常にできなくなり、ニキビなどの肌トラブルにもつながりやすくなります。またこれらの成分を落とすには強いクレンジングが必要になり、肌を強くこすることでさらに肌を傷めてしまいます。これらの成分は種類がとても多いので、市販の化粧品成分辞典などで調べるほかありません。
オーガニックコスメに注目!
こうした悪循環から脱け出すのに、最近、注目されているのがオーガニックコスメです。有機栽培された植物を原料とし、化学成分を一切配合しないで生産されるコスメです。バリア機能をしっかり保護し、肌に潤いを与えながら、肌本来の輝きと美しさを取り戻していくことができます。ただ実験室の中で大量生産できるケミカル原料に比べて、大地から育てるオーガニック原料は、どうしても手間や時間がかかるため、コスト高になることが避けられません。オーガニックコスメにもさまざまなものがあり、オーガニックそのものを見分ける目も必要になります。しかし、オーガニックコスメが乾燥肌や肌トラブルを脱却する第一歩であることは間違いないでしょう。
化学原料が化粧品に使われるようになって半世紀あまり。それ以来、乾燥肌や肌トラブルが急増し女性を悩ませるようになりました。大昔の女性たちは、あまり肌の乾燥や肌トラブルに悩んだような形跡がみられません。それぞれ伝統的に伝わったそれぞれの土地に育つ植物を化粧料として使っていました。お化粧は自然療法とも結びついていました。クレオパトラも楊貴妃もみんなそうだったのです。ここにオーガニックコスメの原点とヒントがあります。