80%が乾燥肌を自覚
さいきん肌なやみのなかで圧倒的に多いのが乾燥肌です。冬はとくに空気が乾燥する季節でもあり、自分は乾燥肌だと思っている人が80%にものぼっています。しかし10代の若いころは乾燥なんて感じることがなかったし、昔の女性たちもあまり乾燥が気になっていたように見えません。また男性が乾燥肌で悩んでいる姿もほとんどみかけません。どうして現代人の女性だけがこんなに乾燥肌になってしまったのでしょうか?さいきんの女性に特有の症状だとすれば、化粧品やお化粧の方法に問題がありそうだという推測ができます。
肌の水分量
肌の水分は表皮の外側のうすい角質層にあって、健康な肌ならその水分量は20~30%に保たれています。ところが乾燥肌になると、10%以下になってしまいます。角質層の保水能力が落ちてしまうのです。その結果、ガード機能が失われて、さまざまな肌トラブルに発展します。原因として大きくつぎの二つのことが考えられます。
・化粧品に含まれる成分の影響
・肌に負担をかけるお化粧の方法
バリア機能を壊す成分
普通の化粧品に多く含まれる成分のうち、合成界面活性剤が肌によくないことはよく知られています。有効成分を肌の奥深くまで浸透させるために、肌のバリア機能をこわさしてしまうからです。すると角質層の水分を保持する役目をになうセラミドが流出し、肌の水分が蒸発しやすくなります。またターンオーバーが狂って未成熟なうすい肌ができ、角質層の水分をためる能力が落ちてしまいます。これをカバーするのに配合される合成ポリマーは、落ちにくいためにどうしても強いクレンジングを必要になり、ごしごしこすってさらに肌をいためます。
化粧品の使い過ぎがトラブルに
乾燥が気になると保湿に効果がありそうな化粧品をあれこれ探して使うことが多くなります。これがかえって肌に大きな負担を与えます。表皮のいちばん外側で水分をためる役割りをしている角質層の厚みは、わずか0.02ミリほどしかありません。これはサランラップを2枚かさねたほどの、とても薄くて絹のように繊細なそしきです。この皮ふを強くこするのは、絹の服地をごしごしこすり洗いするのと同じで、すぐにいたんでヨレヨレになってしまいます。化粧品に含まれる化学成分、洗顔のしすぎ、強いクレンジング、化粧品の使いすぎが肌に大きなダメージを与えてしまうのです。
肌は絹の布をあつかう感覚でやさしく
そこで乾燥肌に備える対策としては、つぎのようなことを心がけることが大切になります。まずクレンジングは、少し残っても大丈夫なので、ササッと30~40秒ですませます。つぎに洗顔石けんをよく泡だて、その泡を顔に押しつけるようにして残りの汚れを浮かせ、軽くぬるま湯ですすぎます。このとき手でゴシゴシこすらないこと。すすぎも手が顔に触れるかふれないかくらいで、水をかけるようにして流します。
スキンケアはシンプルに
化粧水は両手にのばして顔を包みこみ、しばらくじっと温めるようにしてなじませます。ほほをパタパタと叩くのは皮ふのそしきを痛めるので、決して叩かないこと。ここでも繊細な絹の生地をあつかう感覚を忘れないようにしましょう。もしシミなど気になる部分があれば、美容液などをスポット的に部分使いします。そして良質のクリームで保湿をして終わりです。クレンジングからクリームまでの時間はせいぜい3~4分ですませることです。スキンケアは少ない数の化粧品で、シンプルにすませることが大事なポイントです。
乾燥肌だからとたくさんの化粧品をたんねんに時間をかけてつけるのは逆効果です。肌にふれる時間が長くなるほど肌をいためてしまうので、できるだけ短くすませること。しわを伸ばそうと肌をひっぱる動作も肌のそしきをいためるだけで、実際にシワを伸ばせる効果はありません。
UV化粧品の重ね付けに注意
日常メイクはリキッド系でなく、肌に負担をかけないパウダーファンデーションを使うようにします。UVケアを施した化粧品をいくつも重ねづけすることも、肌に負担をかけるので避けるべきです。紫外線を反射する二酸化チタンを配合したUVパウダーを使うことで負担を少なくできます。スキンケアはなるべくシンプルであること、化学成分の少ないものを選ぶこと、肌にふれる時間をなるべく短くすることをこころがけましょう。