美容に期待されるエクソソーム
ヒト幹細培養液には、培養される幹細胞が分泌するさまざまなサイトカインや成長因子などを高濃度に含んでおり、エクソソームも含まれます。エクソソームとは細胞が放出するカプセル状の情報を伝える小器官です。そこには私たちの美しさに関連する情報も含まれていて、従来の化粧品成分にはない細胞の若返り効果をもつとして、いま高い関心が寄せられれています。エクソソームは体の中のあらゆる細胞が出しており、直径50~100nm(ナノメートル)という微細な物質で、タンパク質や脂質、RNAなどの情報を目的の細胞に届けます。通常、このような物質が単独で細胞外にでると、これらの微粒子は免疫細胞マクロファージによって食べられてしまいますが、エクソソームは特殊なタンパク質を持つため、安全に目的の細胞に情報を届けることができます。
エクソソームの美容上のメリット
では美容においてどのようなメリットがあるのでしょうか。一つは、肌のターンオーバーやエラスチンを産生すること、第二は、薄毛治療の効果をもたらすこと、第三は、血管再生や免疫調整をすること、第四は、肌のターンオーバーやエラスチンを産生することなどです。エクソソームは細胞間を移動してその情報を伝え、肌に与えると細胞を活性化させ、抗炎症、皮膚バリア再生、創傷治癒などで美肌をつくり、しわ、しみの改善などの作用をします。
情報を目的の細胞に届ける
エクソソームは、その行き先を示す役割をするタンパク質や、細胞のレセプター(鍵穴)に働きかけるリガンド(鍵)の役割りを果たすタンパク質をもっています。カプセルが目的の細胞に到達して細胞膜に融合すると、カプセル内のマイクロRNAなどが細胞内に入り、情報を伝えます。近年の研究では、エクソソームが感染性病原体や腫瘍に対する適応免疫応答を媒介し、組織修復等の機能的変化や生理的変化を引き起こすことが分かっています。この特性を生かして、薬剤などをピンポイントで確実に治療細胞に届ける研究も進められています。
遺伝子の働きを制御
エクソソームは、電子顕微鏡で拡大してみると、突起がついた丸い玉の形をしています。血液中に含まれるエクソソームの数から計算すると、私たちの体の中にはじつに100兆個以上が流れていると考えられます。さらに、エクソソームの様々なメッセージ物質の一つが、マイクロRNAというDNAの仲間であり、遺伝子の働きを制御することが分かっています。スウェーデンの科学者ヤン・ロトバルが今から14年ほど前に発見してから、エクソソームの働きを解明する研究が世界中で行われるようになっています。
肌老化や受精にも関連
エクソソームは、私たちの体の健康に重要な働きし、肌老化との関連もあります。ケラチノサイトと呼ばれる細胞は、紫外線を浴びるとエクソソームを分泌します。すると、それをメラノサイトと呼ばれる細胞が受け取り、メラニンを分泌しますが、このメラニンは、肌を紫外線から守る役割をすると同時に、シミ、そばかすの原因にもなります。そこでこのメカニズムを解明して、有用な化粧品を開発する取り組みも進められています。
もう一つは受精です。卵子は膜の表面にエクソソームを分泌して、精子が卵子の中へ入っていくときの鍵のような働きをしています。実験によると、卵子の表面にエクソソームがない卵子の場合、精子は中へ入ることができず、受精することができません。これをして将来、不妊治療などへの応用が期待されています。
エクソソームは情報のメッセンジャー
エクソソームは身体の中で細胞同士のメッセンジャーとなります。そこに含まれるマイクロRNAという遺伝物質は、元々細胞内のDNAの中だけにしか存在しないとされていたのが、実際にはエクソソームの中にも存在し、細胞間での情報交換に使われています。エクソソームは、細胞の中の宅配便に例えられ、マイクロRNAはその荷物です。マイクロRNAには細胞のさまざまな情報が含まれていて、必要な場所に必要な荷物を配達して、私たちの体の中の機能を正常に保っています。しかし、もし荷物の中身が受け取り先の細胞に悪い影響を与える「がん細胞」であれば、受け取った細胞はがんの影響を受けてしまいます。つまりエクソソームは運搬よりも、積荷であるマイクロRNAの方が重要な意味をもつのです。この運び屋のエクソソームが、ヒト幹細胞美容液に含まれているのです。ぷろろQUEENS美容液が注目される理由がここにあります。