アロマテラピーとは
アロマとは香りのことであり、アロマテラビーとは香りによる心身にリラックス効果を与える療法をいい、心身にはたらくメカニズムは明確になっています。アロマテラピーは、香りによる療法であり、フランスでは医師免許取得者によって実施されることからも、ちゃんとした医療効果が認められています。アロマテラピーには植物の花や葉から抽出された精油(エッセンシャルオイル)が使用されます。精油とは、植物の花、葉、果皮、果実、心材、根、種子、樹皮、樹脂などから抽出される天然の素材で、植物によって特有の香り成分と機能が異なります。それぞれの芳香物質は揮発性の高い微粒子です。症状や施術目的に応じて、精油の種類を選びます。アロマテラピーには、エッセンシャルオイルを浴槽にたらすアロマバス、ディフューザー使った芳香浴、スキンケアによって皮ふから香りを体内に取り入れる方法などがあります。
アロマの6つの系統
アロマテラピーに用いる天然香料の香りには、大きく6つほどの系統があります。フローラル系は、ローズ、ラベンダーなどの花から抽出される甘く華やかで、優雅な香りが特徴です。グレープフルーツやオレンジなどの柑橘類から抽出されるシトラス系は、明るくナチュラルな香りが特徴です。ローズマリー、タイムなどハーブの葉や花から抽出されるハーバル系は、爽快な香りが特徴です。ティートリー、シダーウッドなど樹木から抽出されるウッディ系は、、森の中にいるようなリラックス感と新鮮で清潔感のある効果を与える香りです。ブラックペパー、シナモンなどのスパイス系は、刺激あるスパイシーな香りが特徴です。ミルラ、フランキンセンスなどのレジナス系は、木の樹脂から採取され、粘度が高く、重厚感のある甘い香りが特徴です。天然香料には植物性香料のほかに、麝香やアンバーグリスのような動物性の香料もありますが、希少性であることに加えてワシントン条約の野生動物保護法により、現在ではあまり使用されていません。
芳香成分が心身に働くルート
精油の芳香成分が体内に吸収されるルートには、主として3つがあります。一つは鼻から吸入されて、鼻の奥にある嗅細胞が刺激され、その刺激が電気信号に変換されて大脳辺縁系へ伝えられます。そして視床下部から下垂体へ、または扁桃体や海馬へと伝わるルードです。二つ目は、鼻や口から吸収されて呼吸とともに肺に入り、肺胞から血液に入って全身の組織や細胞に運ばれるルートです。三つめは、皮ふから浸透して真皮にある毛細血管へ入り、血液の流れに乗って全身の筋肉や器官に到達するルードです。芳香成分は粒子が小さいため、皮ふの細胞をすり抜けて浸透するのです。アロマのがかかわるのは、主として最初のルートです。視床下部は自律神経やホルモンのバランスを司る重要な器官で、自律神経やホルモンのバランスを整えて副交感神経が優位になると、心身の緊張がほくれて気持ちが落ち着き、リラックスできるのです。
大脳辺縁系の海馬は記憶を司り、扁桃体は感情を司るとされています。匂いを嗅いだときの香りが海馬で心地よい記憶をよみがえらせ、アロマの香りが扁桃体に伝わって、やすらぎや心地よさを感じるとされます。他のルートで香りが全身に運ばれることも、それぞれの器官に好影響を与えることが考えられます。
アロマテラピーの楽しみ方
アロマテラピーには、芳香浴法、沐浴法、吸入法、フェイシャルスチーム、湿布法トリートメント法などの楽しみ方があります。芳香浴法は、精油をハンカチに1、2滴たらして枕元などに置き、またはアロマポットやディフューザーなどの専用器具で香りを拡散することで心身のバランスを整えます。沐浴法は、5ml程度を無水エタノールに混ぜて、浴槽または洗面器などの湯に入れてよくかき混ぜ、全身または一部を浸します。吸入法は、お湯に精油を1、2滴落として、立ち上がる香りの湯気を吸いこみ、呼吸器系の不調を緩和します。フェイシャルスチームは、お湯に精油を1、2滴落として、蒸気が逃げないようにバスタオルを頭から覆って香りを集めるようにし、静かに目をとじてゆっくり呼吸します。すると血行が促され、皮ふが潤います。湿布法は、洗面器に湯を入れて精油を2、3滴たらし、タオルを二つ折りにして真ん中をたるませて油を掬い取り、精油を掬った面が内側になるように折りたたんで軽くしぼって湿布する部位に当てることで、肩こり、腰痛、生理痛などの慢性トラブルに効果をもたらします。トリートメント法は、植物性のオイルをベースに精油を1%以下の濃度で混ぜたトリートメントオイルを身体や顔に湿布する方法です。リラクゼーション、保湿、整肌、血行促進、筋肉の凝りをやわらげる効果が期待できます。いずれの方法も精油は強いので、肌が弱い場合には、濃度を薄めるなど調節して使用します。
精油成分の抽出法
精油の抽出には、いくつかの方法があります。それによって原料植物の精油分の抽出範囲は変化します。一般的には、水と原料だけで抽出する水蒸気蒸留法が用いられます。上澄み部分には比重の軽い精油が、その下には芳香蒸留水(エキス)が得られます。高温で抽出成分が壊れやすいデリケートな成分、重い成分、水に溶けやすい酸類が多い成分をもつ原料は、ヘキサンなどの溶剤を使用して抽出され、アブソリュートと呼ばれ、ジャスミン、ヒアシンスなどがその例です。抽出後に溶剤は回収されますが、どうしても残留分が残るため、オーガニック精油とは認められません。超臨界流体抽出法を用いればオーガニック抽出が可能ですが、コストがかさむのでほとんど使われていません。
冷浸法とアンフルラージュ
古くからの抽出方法で、ラードやヘッドを使用して精油分を抽出する冷浸法または油脂吸着法(アンフルラージュ)と呼ばれる方法もあります。これによって得られる芳香成分はアンフルラージュ・アブソリュートと呼ばれ、オーガニック製品となります。ただとても手間がかかるため、現代ではほとんど見られませんが、ぷろろ化粧品の化粧オイルはあえてこの方法を採用したアロママッサージ用の芳香油です。生のハーブのもっともよい時期を見計らって摘み取り、長時間かけてそのエッセンスをじっくりホホバオイルに浸みださせ、ヨーロッパ古代のロマンの香りをたのしめる芳香油です。
改善したい症状や好みに応じて、自分に合った精油を選んで効果的にアロマテラピーを楽しみましょう。