オメガ3脂肪酸とその重要性
オメガ3脂肪酸が健康にとって重要とする記事を最近よく目にします。脂肪酸は常温でバターのように個形の飽和脂肪酸と、サラダ油のように液状の不飽和脂肪酸とがあります。脂肪酸は体内で、身体活動のエネルギー源となるほか、脂溶性ビタミンの吸収を促し、体の細胞膜、核膜、ホルモンなどを構成します。また寒さや物理的刺激から体を保護する、健康にとって不可欠な成分です。オメガ3脂肪酸は体内では合成できない必須脂肪酸なので、日々の食事から摂取しなければなりません。必須脂肪酸でも、オメガ6系脂肪酸は摂り過ぎると肥満などの問題が生じます。オメガ3系脂肪酸には、亜麻仁油やえごま油に含まれるα-リノレン酸、青魚に含まれるDHA、EPAの3つがあります。不足すると、脳や神経、皮膚などに異常が現れるとされています。
オメガ3と美容効果
オメガ3脂肪酸は、皮膚のしわやたるみ予防、アンチエイジング、うつ症状の軽減、アレルギー抑制などに関係します。オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸とは摂取バランスが大事です。理想は1対2の比率とされており、少なくとも1対4程度にはする必要があります。ところが日本人の食事では1対10くらいになっているとされ、大きくバランスが崩れています。これが肌荒れやアトピーの原因の一つになっており、免疫細胞の暴走や自己免疫疾患の原因にもなっているといわれています。つまりオメガ3の不足と、オメガ6の摂り過ぎです。オメガ6を摂りすぎると脂肪となって体に蓄えられ、肥満の原因になります。オメガ3脂肪酸が不足すると、丈夫な細胞膜がつくれず、皮ふの凹凸がふえ、ガサガサ肌になります。また、皮脂分泌と肌の水分が保持できなくなり、肌老化を進めるといわれています。さらに頭髪やまつ毛の抜け毛、髪の毛のハリ、血液の循環にも悪影響するなど、美容には欠かせない成分といえます。
オメガ3の健康効果
オメガ3には、生活習慣病を予防する効果があると期待されています。コレステロール値や血圧の上昇を防ぎ、動脈硬化や高血圧などの生活習慣病の予防につながります。アレルギー原因物質を抑制し、血管拡張作用で血圧を下げ、血栓を予防し、抗炎症作用にも働きます。EPAやDHAは関節リウマチの症状緩和にも一定の効果があるとされます。魚油を取ると朝の体のこわばりが短かくなり、関節の腫れや痛みも減少し、症状をコントロールする抗炎症薬の必要性も少なくてすんだという報告があります。
DHAは脳や眼に関連したさまざまな疾患の予防と治療にも有効性が指摘されています。脳神経を活性化し、記憶力の向上に効果があるといわれています。
EPAには血液をサラサラにする作用があり、動脈硬化を防ぎ、心筋梗塞や虚血性心疾患の予防効果があります。糖尿病、筋肉痛にも効果が高いといわれています。また脂質の代謝を促し、体脂肪を減少させる効果で、ダイエットに適しているといわれています。スポーツ選手の筋肉痛や痛みを和らげる効果も報告されています。
オメガ3の効果的な摂取
オメガ3系脂肪酸を含む食品には、くるみ、えごま、亜麻仁油、青魚などがあります。サケ、マグロ、マスなどの脂肪が多い魚や、カニ、ムール貝、カキなどの甲殻類にも多く含まれています。またDHAやEPAが真いわし並みに多く含まれるのが金目鯛です。目玉の周りのトロッとした部分には、肌に大切なコラーゲンが、身には良質のたんぱく質やミネラル類が多く含まれています。
ただオメガ3系脂肪酸の弱点は、非常に酸化スピードがはやいことです。酸化した脂肪酸は体を酸化させ、動脈硬化の原因になり、老化スピードをはやめます。また、熱に弱いので、炒め物などにするより、ドレッシングやマリネで摂取し、刺身や寿司などの生魚で食べるのが効果的です。
一方、オメガ6系脂肪酸は、大豆油、コーン油、リノール油などに含まれます。多用されている食品に、パン、マヨネーズ、カップ麺、フライドチキン、てんぷら、揚げ物などのお惣菜、加工食品、ファストフードなどがあります。摂りすぎに注意しなければなりません。
イヌイットとアメリカ人のエピソード
イヌイットは北極圏のシベリア極東部やアラスカなどのツンドラ地帯に住む先住民族で、世界一、脂肪の多い食事をしているといわれています。主食は脂肪分の多いアザラシやシロクマの肉です。ところがある研究によると、イヌイットの血液はサラサラで、血中コレステロール値や中性脂肪値も正常で、心臓病や脳卒中などの原因になる血栓もみられなかったといいます。理由はアザラシやシロクマが食べている魚にあったのです。寒い地域に生息する魚ほどDHAやEPAなどのオメガ3が多く含まれており、イヌイットは必然的に体内にDHAやEPAなどを摂り入れて、生活習慣病を防いでいたのです。
昔から日本人の長寿は、食生活が関係しているといわれてきました。欧米や中国では生魚を食べる習慣がなく、すべて火を通しています。ところが日本には、刺身や寿司などの形で生魚を食べる習慣があったのです。
肉など脂肪分が多い食事のアメリカでは、近年はオメガ3に注目が集まっているといいます。健康と地球の持続可能性を志向するロハスなライフスタイルが求められる傾向が強まっていて、そこで注目されるのが、DHAやEPAのオメガ3なのです。心臓病などの生活習慣病を予防するとともに、アンチエイジング効果もあるとして、注目を浴びているのです。オメガ3の不足を補うために、オメガ3配合のサプリメントが流行っているといいます。一方、マーガリンや加工食品に使われるトランス脂肪酸は、心臓病や血栓のリスクを高めるリスクがあるとして、すでに使用が禁止されています。
オメガ3のサプリメント
一般的にオメガ3のサプリメントは効果が見込めると考えられます。ただ、サプリメントに過度に依存して、日常の食生活の改善を怠るのは本末転倒です。あくまで補助食品であることを理解したうえで摂取すべきです。
また適正な摂取量を超えないように注意が必要です。というのもオメガ3脂肪酸は脂の一種であることから、摂りするとカロリーの増加に繋がるからです。特に、血液関係の薬を飲んでいる場合は、まずかかりつけの医師に相談してから摂取するのが望ましいといえるでしょう。
EPAの血液をサラサラにする効果は、出血した場合の止血効果が弱まることにもつながります。魚を日に1回食べるくらいでは問題ありませんが、手術などを控えている場合は、サプリメントで過剰摂取になることに気をつける必要があります。