ヒト幹細胞コスメが肌細胞を甦らせる
再生医療を応用したヒト幹細胞コスメの登場に、いま化粧品業界の大きな期待が集まっています。とくにアンチエイジング効果では、かつてない大きな力を発揮します。ヒト幹細胞培養液を肌に与えると、加齢とともに深まるシミ、しわ、たるみといったお肌の悩みが改善されるからです。ヒト幹細胞培養液には、細胞を成長させたり増やしたりするサイトカイン(情報伝達物質)など、肌の組織をつくる500種類以上ものタンパク質成分などが含まれており、肌細胞を活性化するので、アンチエイジングにとどまらず、酒さ・酒さ様皮膚炎などの肌トラブルの改善にも期待されています。
アンチエイジング効果
ヒト幹細胞コスメが注目される最大の理由は、アンチエイジング効果にすぐれていることです。細胞がパワーアップして、老化の原因である加齢、紫外線、大気汚染、乾燥、活性酸素、化学物質や添加物などの肌ストレスに立ち向かい、老化にストップがかかります。新たに生み出されるコラーゲンやヒアルロン酸は、しわ改善、美白、線維芽細胞増殖、表皮細胞増殖など、有効性は多岐にわたります。幹細胞が分泌する数百種類以上もの成長・増殖因子であるサイトカインや酵素、タンパク質などの生理活性物質が、活力の落ちた細胞に働きかけて、再活性化します。人工的に老化させた細胞にヒト幹細胞培養液を与えて、老化現象が改善することが研究で確認されており、単に現状維持ではなく、肌を若返らせる作用が科学的に実証されています。
衰えた線維芽細胞を再活性化
加齢や紫外線によって線維芽細胞が衰えると、コラーゲンやエラスチンが変性し、繊維が切れたり細く萎縮して弾力を失い、肌にしわやたるみが生じます。ところが衰えたこの線維芽細胞にヒト幹細胞培養液を与えると、多くの成長因子や増殖因子が肌の幹細胞に働きかけて再活性化し、新たなコラーゲンやヒアルロン酸を生み出すようになります。すると肌にみずみずしさと弾力が戻り、ターンオーバーが促進されて新陳代謝がスムーズになり、シミやしわを予防し、できてしまったシミやしわをも改善します。余分なメラニンの生成が抑えられるため、美白効果も期待されます。
ハリとしわの改善・防止効果
ヒト幹細胞コスメは、肌の真皮と表皮の両方に働きかけ、真皮をふっくらさせて、表皮のバリア機能を高めます。まず線維芽細胞が活性化すると、滞っていたさまざまな美肌成分が新しく生みだされます。タンパク質の繊維の束であるコラーゲンは、太くて強いほど肌にハリをもたらし、ヒアルロン酸は水をためこむ保湿能力が非常に高いので、多いほど肌に弾力とうるおいをもたらします。表皮の基底層にある幹細胞にヒト幹細胞培養液を与えると、表皮の細胞分裂が活発化し、ターンオーバーが促進されます。レンガのように積み重なった表皮細胞の隙間をうずめているセラミドや天然保湿成分などの細胞間脂質は、水分の蒸発を防ぎ、細菌やアレルギー物質の侵入を防ぐバリア機能を果たしています。ヒト幹細胞培養液が肌細胞を元気にすると、うるおいやハリの成分がふえて、しわの改善や予防につながります。
人肌と相性がよいのはヒト由来だけ
幹細胞培養液には、植物由来、動物由来、ヒト由来の3種類があります。しかし人の肌に相性がよいのはダントツにヒト幹細胞培養液だけといわれています。ヒト幹細胞の培養にあたっては、特殊な製法で刺激を与えることで、活性酸素を除去する酵素、タンパク質、ビタミンなどが多量に浸出し、保湿、シミ、しわ、たるみの改善、美白などの美容効果に力を発揮します。さらに肌のハリ、弾力、リフトケア、透明感、潤い保持、肌のキメを整えて若々しい肌に再生します。ヒト幹細胞培養液が実際に細胞を増殖させるには、幹細胞にあるレセプター(鍵穴)に、ヒト由来の成長因子を含む生理活性物質のリガンド(鍵)がぴったりはまる必要がありますが、再生・修復力を強く引き出すリガンド(鍵)を豊富に含むのが、ヒト由来の幹細胞培養液です。
ヒト幹細胞培養液に含まれる主な成分
培養液には、およそ次のような成長因子と増殖因子が含まれます。
・EGF:上皮成長因子(ターンオーバーを促進、シミやくすみを改善)
・FGF:線維芽細胞成長因子(真皮細胞に肌細胞の増殖を促す)
・NGF:神経成長因子(神経障害の予防と活性)
・KGF/FGF-7:ケラチノサイト成長因子(毛母細胞に働きかけて発毛、増毛効果)、VEGF:血管内皮細胞増殖因子(新生血管の形成を促す)
・TGF-β:トランスフォーミング成長因子(抗炎症作用、敏感肌の改善)
・IGF-1:インスリン様成長因子(新しい皮ふ再生、コラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸の生成、ハリと弾力を再生ししわの予防・改善)
・PDGF:血小板由来成長因子(線維芽細胞の増殖促進)
・HGF:肝細胞増殖因子(肌細胞の増殖促進・血管新生など組織の再生)。
ヒト幹細胞培養液に含まれるこれらの成長因子や増殖因子が、必要なタンパク質の生成を促し、肌に若返りをもたらします。抗炎症作用のあるTGF-βは、敏感肌やアレルギーで荒れてしまった肌の炎症を抑えて改善します。植物由来や動物由来の培養液には、どうしても肌質に合わないという問題がでてきますが、ヒト幹細胞培養液はひと由来であるだけにアレルギー反応や副作用の心配もないのが大きな特徴です。
効くコスメは配合濃度が重要
加齢や紫外線などで肌が衰えると、外からヒアルロン酸などの美容成分を塗って補うというのが従来の発想でした。これに対して、ヒト幹細胞培養液は、肌自体の幹細胞を活性化し、コラーゲンやヒアルロン酸などを新しく生み出させるものです。補うコスメから効くコスメ(=コスメシューティカル)へ、スキンケアのパラダイムシフトは、まさに革命です。コスメシューティカルとは、科学的根拠に基づいて効果が検証されたコスメです。
ただ、ヒト幹細胞培養液は1%未満でも効果があるとされますが、配合量まで記載する義務がないため、たった1滴でも入っていれば、効果を謳うことができてしまいます。ヒト幹細胞培養液の効果は配合濃度と密接に関係があるので、濃度1%以上が推奨されており、配合濃度が重要になります。全成分の表示は、法律で配合量の多い順に記載する決まりなので、ヒト幹細胞培養液が最初の方に書かれているものが配合濃度が高いものになります。濃度が高いものはどうしても価格も高めですが、効果も大きいので、美容液であれば3%以上のものを選ぶのがよいでしょう。