日焼け止めに使われる成分と特徴
日焼け止めやUVカットに使われる成分には、紫外線散乱剤と紫外線吸収剤の二つがあります。このうち紫外線散乱剤は、酸化チタンや酸化亜鉛など鉱物のミネラルを粉末にしたもので、肌の表面で紫外線を反射させて肌の中に入れないようにします。肌への負担を小さくできること、UV-A波、UV-B波の両方を反射させられるのが特徴で、効果も長持ちします。ただ短所は、付けたとき白っぽく見えたり、SPF値があまり大きくできないことですが、マリモ状に加工したものを使うことで乱反射させて防ぐことができます。粒子を微細にしてナノ化することで白浮きしなくできますが、微粒子が細胞を通り抜けて血管に入り込み、肺の毛細血管を詰まらせたり、免疫細胞に影響を及ぼすとの指摘もあるのでおすすめはできません。
一方の紫外線吸収剤は、紫外線を肌の中に取り込んで熱などに変換して放出するため、肌への負担が大きくなります。SPF値を最大50まで確保できることや、しっとりした使い心地を実現でき、白浮きしないのが利点です。ただ紫外線吸収剤の成分は t-プチルメトキシジベンゾイルメタン、オキシベンゾン、パラアミノ安息香酸、メトキシケイヒ酸エチルヘキシルなどの合成成分が使われること、とくに乳液タイプのものやジェルタイプのものには必ず合成界面活性剤が使われることから、敏感肌やトラブルのある肌にはおすすめできません。体内のホルモンの働きを乱す環境ホルモンの疑いが指摘されていることにも留意が必要です。
紫外線による日焼けの仕組み
効果のある適量とは
日焼け止めは、使用量が適量であることが大事ですが、実際に使われている量は、ほとんどの場合必要量の4分の1くらいともいわれています。せっせとUVケアしてきたのに、40代になったらシミが増えたという場合、使用量が少なすぎて効果が得られていなかった可能性があります。必要量は500円玉くらいですが、それだけの量をつけるとべたついたり気持ちわるく感じるかもしれません。パウダーファンデーションであればべとつきもなく、塗り直しもきいてより効果的です。逆に使用する化粧品にそれぞれUV対応がなされていると、過剰防衛になって肌を傷めることもあります。どちらにしても使用量をきちんと守ることが大事です。またUVケアだけでは限界もあるので、日傘や長袖を着用するなど、直射日光を物理的に防ぐことも大事です。
日焼けしてしまったら
日焼けには、紫外線を浴びてすぐ赤くなるサンバーンと、数日後に褐色になるサンタンがあります。紫外線は一種のやけどなので、浴びてしまったら、まず冷たいタオルや保冷剤などでしっかりアイシングをすることが大事です。そのあとビタミンCを多く含む化粧水で保湿をします。褐色になった肌はターンオーバーによる細胞の入れ替わりで、1ヵ月ほどすると垢とともに剥がれ落ちて元の白い肌に戻ります。このときターンオーバーが滞っていたりして排出できないと、色素がが沈着してシミになります。シミをとる美白化粧品は医薬部外品であり、バリア機能を壊して肌奥まで浸透させる性質をもつ化粧品です。黒くなったメラニンを漂白するもの、メラニンの合成を抑制するもの、メラニンをつくる元のメラノサイトを間引いて破壊するものなどあり、メラニンを敵に回すことでかえって肌を傷めてしまう可能性も大きく注意が必要です。
紫外線を防ぐ抗酸化力のある食物
UVケアに頼るだけでなく、普段からビタミン類を多く含む野菜や果物を摂取するように心がけると紫外線予防に役立ちます。紫外線による活性酸素で肌の酸化を防ぐために、ビタミンC、ビタミンE、β-カロチン、ポリフェノールなど、抗酸化力のある栄養素を含むものを摂取することで効果を得られます。
ビタミンCが多く含まれるものに、レモン、キャベツなどがあります。シミをつくらせいだけでなく、できてしまったシミを薄くする効果もあります。ビタミンEは、春野菜やアスパラなどに多く含まれ、抗酸化力が強く、作用を終えて劣化したビタミンCを甦らせる特性をもち、血流をスムーズにする作用があります。β-カロチンは、菜の花や芽キャベツなどに豊富に含まれ、抗酸化力をもたらします。リコピンはトマト、ナスやピーマンなどに多く含まれ、抗酸化力に加えて、不要なメラニンの生成を抑制します。ポリフェノールは、赤ワインで知られますが、黒ブドウに多く含まれ、活性酸素を除去します。
このように日焼け止めやUVケアだけでなく、食物の栄養素を意識して摂取することで体の中から予防することも可能であり、大事な紫外線対策となります。