紫外線はお肌の大敵
紫外線は4月から9月にかけて急速に強まり、7,8月にかけてピークを迎えます。紫外線は日焼けやシミ、しわ、たるみの原因になるほか、肌老化を加速させるお肌の大敵です。とくに敏感肌や酒さなどトラブルを抱える肌の場合は、炎症の悪化に直結するので対策が欠かせません。UVや日焼け止めの成分には有害なものもあり、その選択を誤るとかえって肌を傷めてしまいかねません。まず紫外線に対する正しい知識をもち、どうするのが効果的な対策かを考えてみましょう。
紫外線の種類と強さ
紫外線とは、太陽から降りそそぐ有害な電磁波のことです。陽ざしの温度とは直接関係がありません。その種類には、UV-A波、UV-B波、UV-C波があります。このうちUV-C波はオゾン層で散乱され地上には届かないので気にする必要はありません。UV-A波とUV-B波が地表に達し、皮ふの奥深くまで浸透してたんぱく質を変性させ、皮ふの張りを保つコラーゲン繊維やエラスチンにダメージを与え、シミやしわ、たるみ、肌老化の大きな原因になります。日差しの弱い冬や曇りの日でも、真夏のおよそ半分ほどは降りそそいでいるので、紫外線対策は1年を通じて行うことが大切です。日傘やマスクで直射光をカットすることはできますが、路面や周囲からの反射光や散乱光は四方八方からふりかかるので、日焼け止めやUV対策はやはり必要です。スキー場などで雪焼けするのは、雪の紫外線反射率は80%にものぼるためです。
メラニンの作用とシミ
とくに有害なUV-A波は浸透力が強いため、肌の奥深くまで到達し、肌の弾力を低下させ、しわ、たるみなどの肌老化を引き起こします。UV-A波は真夏より春先から初夏にかけてより強まるので、しっかりブロックする必要があります。一方、UV-B波は表皮に赤い日焼けをおこし、シミやそばかす、さらには皮ふがんのリスクもあります。肌にはもともと紫外線を遮る仕組みがあります。UV-B波を浴びると表皮の基底層でメラニンが生成され、紫外線にあたると茶褐色に変色して傘になり、紫外線が肌の奥まで透過しないように防ぎます。これが日焼けです。このとき変色したメラニンはターンオーバーが健在なら、押し上げられて角質の垢とともに剥がれ落ちて消えて、元の白い肌に戻ります。ところがターンオーバーが何らかの理由で低下したり滞っていると、メラニンがスムーズに排出されず、表皮に沈着してシミやくすみになるのです。南国の人やスポーツ選手は真っ黒になりますが、肌に異常が起きないのはこのためです。
日焼け止めとUVの選び方
UV商品や日焼け止めを選ぶ際にチェックが必要になるのが「SPF」と「PA」の数値です。「SPF」はUV-B波の防御効果を、「PA」はUV-A波を防ぐ防護効果を表し、数値が大きいものほど効果は高くなりますが、一般に肌への負担も大きくなります。SPFの強さは1から50まであり、PAは+から++++までの4段階で表されます。SPFは数値の大きさに比例して効果も大きくなると思われがちですが、じつはそうではありません。下図のようにSPF50の効果は、SPF25の2倍にはならないのです。
SPFは20程度もあれば、紫外線の90%以上はカットできるのです。数値の1は紫外線に当たって日焼けがはじまるまで、耐えられる時間が20分間であることを表します。たとえばSPF値20なら、日焼けが始まるまで20分×SPF20=400分もちこたえる計算になります。SPF値は大きくなるほど肌への負担だけでなく、価格も高くなります。炎天下での運動を除けば、日常生活では25以下で十分なのです。汗で流れることを考慮しても、途中で1,2度つけ足せば足ります。