女性の肌悩みのトップは乾燥肌
現代の女性の肌の悩みは、ほぼ年齢に関係なく乾燥肌です。このため肌がしっとりして、保湿力のある化粧品がもてはやされます。ところが使い始めはよいのですが、やがてさらに乾燥がすすみ、肌荒れや肌トラブルにつながっていきます。その原因は、ほとんど化粧品に含まれる合成成分です。オーガニック化粧品にも、ほとんどは合成成分が使われているので安心はできません。乾燥肌はあらゆる肌トラブルのもとです。では乾燥肌から脱却するにはどうすればよいのでしょうか。
水分保持の仕組み
健康な肌の水分量はおよそ20~30%といわれています。乾燥肌とはこの皮ふの水分量が慢性的に不足した状態です。皮ふがうすくなり、水分をためる能力が落ちているのです。肌の水分は、皮脂膜、角質層の天然保湿因子(MNF)、角質層の間を埋めている細胞間脂質(セラミド)によって保たれています。皮脂膜とは肌に最適な天然のクリームですが、肌の表面に住んでいる無数の表皮常在菌によって生成され、水分の蒸発を防いでいます。皮脂膜は、皮脂が常在菌に分解されてはじめて天然の保湿剤になるので、常在菌がいなくなると皮脂膜が生成できず、乾燥がすすんでしまいます。常在菌が健在であり、水分が十分に保たれていれば、外部の有害な物質も肌に侵入することはありません。肌をまもる仕組みはじつに精巧にできていて、これをバリア機能とよんでいます。
バリア機能をこわすケミカル化粧品
ところが現代の化粧品は、この大切なバリア機能をこわしてしまうのです。美容成分を浸透させるのに、バリア機能が邪魔になるからです。そこで使われるのが、油汚れを落とす台所洗剤と同じ合成界面活性剤です。水と油の層が幾重にも重なってできている細胞間脂質を溶かして、美容成分を肌に浸透させるのです。常在菌は合成成分にはめっぽう弱いので、防腐剤などの化学成分によって簡単に剥がされ、殺菌されて肌からいなくなります。バリア機能がなくなった肌はすかすかで、乾燥肌になってしまいます。
化学成分の化粧品を使うと、肌は一時的に潤ったようにみえます。ところがバリア機能がこわれている肌は、水分が蒸発しやすく、外部からアレルギー物質の侵入をゆるし、肌荒れの原因になります。そこでケミカル成分の化粧品は、この欠陥を繕うために合成ポリマーで肌の表面をうすいビニールの膜で覆うのです。すると肌はふっくらと艶やかにみえますが、皮ふ呼吸ができず、皮脂分泌機能が阻害されます。また、毛穴がつまって、ニキビや吹き出物ができやすくなります。ケミカル成分は落ちにくいので、強いクレンジングを使うため、さらに乾燥肌はすすんでしまいます。
保湿化粧品が乾燥を加速させる
保湿のために、浸透力のある化粧水をふやし、クリームや乳液を使い、紫外線から肌を守るためのUV化粧品や、シミやくすみを抑えるための美白化粧品を使うようになります。しかし合成成分が含まていると、使えば使うほど肌バリアを壊していきます。それが痒みや湿疹、ニキビや吹き出物の原因に、やがて赤ら顔の酒さや、酒さ様皮膚炎などの肌トラブルにつながります。
肌には、本来、自ら美しく健康になろうとする自然治癒力が備わっています。この力を活性化し、素肌を整えていくのが、有機原料のオーガニック化粧品です。美しく健康になろうとする肌の自然治癒力を発揮させることができます。肌の自然な治癒力を助けて、肌トラブルを改善できるのは、抗酸化力のあるオーガニック植物を原料につくられた天然成分の化粧品だけです。
乾燥肌に効果的な植物
乾燥肌に有効な植物には、米ぬか、ヨクイニン(はと麦)、甘草、ローズ、へちま、白樺樹液、黄からすうりなどがあり、植物オイルでは、マカデミアナッツ油、アルガンオイル、ココナッツ油、ごま油、シアバター、カカオバターなどがあります。米ぬか洗顔は、保湿成分が肌になじんで肌の水分保持力を高め、洗ったあとがしっとりします。薄くなって萎縮した肌を再生し、皮脂に似たうるおい成分が皮脂分泌を正常にしてくれます。そのあと皮脂分泌を促す作用のある白樺樹液やローズの化粧水でたっぷり水分を補給し、その上から保護作用のある植物オイルかクリームをなじませます。
敏感肌では、ちょっとした刺激も肌の奥に運ばれてしまい、普通肌には問題のない天然醸造アルコールやエッセンシャルオイルも刺激になります。できるだけ刺激のないシンプルな天然成分100%の化粧品でケアすることが大切です。超過敏肌には、白樺樹液水やヘチマ水が適しています。また油分としては、刺激の少ないシアバターがおすすめです。そうすれば肌は徐々に変わっていき、乾燥の度合いも変わっていきます。このとき油分のつけすぎには注意が必要です。与えすぎは、肌本来の皮脂分泌機能を衰えさせてしまうからです。