イメージで選ばれている化粧品
美しくなるための化粧品がシミや肌荒れの原因になる・・こんなことが日常茶飯事におきています。ほとんどの消費者は雑誌やTVのコマーシャルを信じて、化粧品の成分をみることなく、イメージで選んでいます。その結果、購入した化粧品がシミや肌荒れの原因になり、肌のバリア機能をこわし、さらに酒さや、酒さ様皮膚炎、脂漏性皮膚炎などといった厄介なトラブルを招いてしてしまうことがあります。化粧品の成分をしっかり見る習慣をもつ必要性がますます高まっています。
オーガニック化粧品にも化学成分
現代の化粧品は、ほとんど石油を原料にした化学成分によってつくられています。化学成分は分解性がわるく徐々に肌に蓄積して、活性酸素を発生し、シミや肌荒れの原因になります。もっと重大なことは、化学成分が肌のバリア機能をこわして、アレルギー物質の侵入を容易にし、紫外線がもろに肌を傷めつけて、さまざまな症状を生じることです。
いままでの化粧品が合わなくなって、植物などを原料にしたオーガニック化粧品を探す人もふえていますが、驚くことにほとんどのオーガニック化粧品にも化学成分が使われていることです。化粧品の成分をチェックしないで、広告のナチュラルなイメージだけを信じて使用し、敏感肌をさらに悪化させてしまうことも少なくありません。皮膚科にかかっても決定的な治療法が乏しいため、処方される抗生物質やステロイド剤を使用して、さらに症状を悪化させ、修復に苦しむケースもふえています。
化粧品に使われる主な化学成分
化粧品の中でもっとも多く使われ注意しなければならない成分は、肌のバリア機能をこわす合成界面活性剤です。そのほかにも品質保持のために使われる合成防腐剤、クリームなどの乳化に使われる鉱物油、ハリやつやを見せかける合成ポリマー、メイク用品に多く使われる赤や黄色○○号といったタール系色素などがあります。これらは発ガン性の疑いが指摘されているものもあり、アレルギーの原因だけでなく、油焼けして肌の老化をまねいたり、皮脂分泌を阻害して乾燥肌をすすめてしまうものもあります。
最近では植物からつくられる合成成分もあります。一見、植物由来で優しそうなイメージですが、これも自然界にないれっきとした合成成分です。こうした合成成分の種類はいまや1万種類にものぼるため、専門家でも覚えきれる人はいません。化粧品の成分辞典を一冊備えておくと便利です。大方の判断の目安をあげると、ローマ字や数字がついたもの、やたらに長いカタカナの名前のもの、イメージしずらいものはほぼ合成成分といえます。
つぎにいくつか代表的な例をあげてみましょう。
合成界面活性剤:ラウレス-3、ラウリル硫酸Na、PEG-○○、イソステアリン酸Na、ステアリン酸グリセリル、POE水添ヒマシ油
合成防腐剤:パラベン、フェノキシエタノール、安息香酸Na、ソルビン酸、エデト酸(EDTA)、BG、1,2-ペンタンジオール
鉱物油など:ミネラルオイル、パラフィン、ベンジルアルコール、ラウリン酸、イソステアリン酸イソプロピル、シクロメチコン
合成ポリマー:ポリクオタニウム-6、ポリ酢酸ビニル、ジメチコン、ヒアルロン酸Na、ポリアクリルアミド、ポリクオタニウム-10
合成色素:青色○号、赤色○号、黄色○号(○には数字が入る)
とくに「エチ」「プロ」「イソ」「ベン」「ポリ」「クロ」「フェノ」「ジ」「トリ」がつく成分は合成成分の可能性が高いので気をつける必要があります。
ただし、カタカナ名でもつぎのものは安全な天然成分です。
「水酸化カリウム」「水酸化ナトリウム」「レシチン」「ラノリン」「トコフェロール」「エタノール」「キャンデリラロウ」「カルナバロウ」「マイカ」「タルク」「キサンタンガム」
もっとも気をつけたいのは合成界面活性剤
合成界面活性剤は、本来混じり合わない水と油を混ぜあわせて溶かす性質があります。何層もの水と油の層からできていて外から水も油も通さない仕組みになっている角質細胞間脂質を溶かして無効化してしまいます。有効成分とされるものを浸透させるのに、バリア機能が邪魔になるからです。バリア機能の一部をになう表皮常在菌も一掃されて、他の合成成分もいっしょに肌の中に入ってしまいます。それが活性酸素を発生させ、シミや肌荒れの原因になるのです。その一部は毛細血管に入って体内の臓器に運ばれ、蓄積してさまざまな病気やガンの原因になります。敏感肌であれば、肌荒れはすすむ一方です。合成界面活性剤は台所洗剤とほぼおなじ成分であり、合成成分の中でももっとも気をつけたい成分です。
「パラベン不使用」で使われる成分
合成防腐剤のパラベンは、化粧品の酸化を防ぐために配合されるのですが、アレルギー性があるため厚労省の旧表示指定成分になっていました。このためオーガニック系の化粧品の多くでは代わりにフェノキシエタノールを使用し、「パラベン不使用」と宣伝していますが、旧指定成分に入っていなかっただけで、パラベン同様にアレルギー性や刺激性があり、環境ホルモンの疑いももたれています。環境ホルモンは体内に入ると偽ホルモンの働きをして体調を狂わせるため厄介なものです。食品添加物と同様に、化粧品から合成成分を体内に取り込むことは避けなければなりません。化学成分を使わず、時代を超えて安全が確かめられてきた天然成分だけでつくられたオーガニック化粧品をみきわめて選ぶことが大事です。