急増する肌トラブルからの脱却のために
化粧品の成分で肌を傷めている人が急増しています。化学成分の使用が当たり前になっている化粧品業界。市場のおよそ95%がケミカル化粧品で占められています。もちろん、大手の有名な化粧品もこの中に含まれます。肌を傷めた人が、ノンケミカルの肌にやさしいオーガニック化粧品を探しても、その大半に化学成分が使われているので、本物の天然成分だけのオーガニック化粧品に行き当たる確率はおそらく1%くらいのはずです。しかし本物かどうかの判断もまた簡単ではありません。あれこれと試しても一向に肌荒れが改善しないのは、こうした事情によるのです。ではそんな状況から脱却するにはどうすればよいのでしょうか。
営利目的になっている化粧品
まず肌に合わない化粧品は一刻も早く使用を中止することです。もったいないと無くなるまで使いつづけるのは、大切な肌を痛めつけるだけで愚の骨頂です。ケミカル成分が多用されるのは、原料コストが圧倒的に低くて、数千種類ある中からさまざまな組み合わせで消費者受けのよいテクスチャーの製品をつくりだせるからです。肌のためより、企業の収益が目標になっています。ですから化粧品の開発では、もっとも売れる購買層に向けて販売価格がまず決められます。開発担当者はその5%ほどの枠内で原料調達しなければならず、その枠でしか原料が使えないため、最大の悩みどころでストレスになるといいます。残りの95%で最大なものが広告宣伝などの流通コストです。それに販売員の人件費、デパートの一等スペースの家賃、そして純利益です。原料コストが5倍も10倍もかかるオーガニック化粧品にはとうていまねることができません。
広告に全成分は表示されているか
ですから消費者の化粧品選びは慎重でなければならないのです。その善し悪しを判断するには全成分を見なければなりません。広告のどこかに全成分が公表されていない化粧品は、まずリストから外しましょう。説明が美辞麗句のよいことずくめで、全成分を表示しないのは、何かやましいところがあるからです。最後のほうに小さな文字で申し訳ていどに書かれていたり、「全成分はこちら」とあって、クリックしなければ見えないようになっているものもあります。
薬用化粧品に隠されるリスク
薬用化粧品では、全成分が書かれることはめったにありません。「薬用」と聞けば一般の消費者はより効き目があるものと想像します。たしかに薬用化粧品には有効成分が配合されています。その成分さえ表示すればよい制度なので、有効成分を浸透させるための助剤など、肌にとってよくない成分が使われていても表示がないのでわかりません。善良で効果が大きい商品なら、全成分を堂々と表示してもよさそうですが、そこにやましさみえ隠れしています。
成分の中身がみえない薬用化粧品
2000年までの旧指定成分の時代には、アレルギー性の強い102種類の成分を厚労省が指定して、それを使ったときだけ表示すればよいことになっていました。それ以外にも合成界面活性剤や乳化剤、防腐剤などアレルギー性の高い成分はたくさんあったのですが、どんな成分を使っていようと表示する義務がなかったのです。ところが消費者の自己責任が拡大されて、各自の裁量に判断が移ることになり全成分表示が義務づけられました。
するとそれまで書かなくてよかった成分まで表にでることになる化粧品は困ってしまいました。妥協の産物で生まれたのが、有効成分だけ書けばよい薬用化粧品だったのです。認可を受けた有効成分さえ入っていれば薬用化粧品とうたえて、それ以外にどんな成分が入っていようと、表示しなくてよくなったのです。こうしたいきさつから、美白化粧品やシミ取り化粧品などの薬用化粧品(医薬部外品)は、一定の効果が期待されるとしても、長い間にバリア機能やメラニン生成機能などを壊してしまうので、そのダメージを考えれば使用しないほうが賢明です。
化粧品とは肌本来の働きを助けるもの
化粧品とは本来、肌の働きを助けて肌をガードしたり、ターンオーバーを円滑にするなど、もともと肌がもっている生理機能を側面的に助けるものだったのです。それが昔は椿油であったり、へちま水であったりしたのです。ところが現代では化粧品が主役になり、いろいろな新成分をむりやり肌に押し込んで肌を支配する考え方に変わってきました。
あるいは傷めてしまった肌を、手品のように直したり、美肌効果を訴えて売り込もうとする化粧品が多くなっています。消費者が効果を実感しさえすれば、自然に売れて事業収益につながるからです。いま目の前にある化粧品が、あなたの肌本来の働きを助けてくれるものか、何かを押し込んで作用させようとしているのか、選ぶまえに立ち止まって考えることが大事です。