植物エキスの配合数
オーガニック化粧品の中には、数十もの植物エキスを配合したものと、数種類だけのごくシンプルなものとがあります。あなたならどちらを選びますか?たくさん配合されていれば、さまざまな成分が肌に働きかけて、より大きな効果が得られそうに思われますが、はたして本当でしょうか。エキスの濃度とどう関係するのでしょうか。数が多くなると個々の濃度はうすくなりますが、数が少なくても濃度がしっかり保たれているものがあります。
数が多くなると成分濃度はうすくなる
オーガニック植物は、たった一つでもたくさんの成分をもっています。これに対して、ケミカル成分は、一つの成分に一つの作用しかありません。このためさまざまな作用をもたせるには、成分を組み合わせるので、カタカナやアルファベット、数字などで示される成分は必然的に長いものになります。ところが植物エキスは、一つで何百もの成分を含むため書ききれないので「〇〇エキス」のように、植物名だけを表記するきまりになっています。
オーガニック化粧品を選ぶ場合、たくさんの植物エキスが使われているほど、効果も期待できそうに思われますが、じつはエキスの濃度はどんどん薄くなります。もしたくさんのエキスを同じ濃度で加えていくと、粘度がべたついて使い心地がわるくなり、価格はとんでもなく高価なものになってしまいます。このため成分の数が多くなるほど、個々のエキスの濃度は薄くなり、効果もうすまっていきます。
あるオーガニック化粧水のコマーシャル
成分の表示と配合量
個々の植物エキスの効能を列記している化粧品の広告をよく目にします。消費者はその数だけ効果が大きくなるものと期待し、勘違いします。配合された植物の数に関心が向いて、濃度のことまで考えないからです。
化粧品の成分は、配合量の多い順に記載するきまりになっています。ただ1%未満のものは順不同でよく、香料と着色料は最後に記載されます。成分の配合量は多くの場合1%未満となり、中には0.01%未満しか配合されないものもあります。この場合は順不同でよいことになります。植物エキスの名前がたくさん書かれていても、効果はうすく広くなるだけで、すべての成分が有効にはたらく濃度で配合されているわけではありません。
エキスの数が効果を保証しない
化粧水では、一般に基材となる水が大きな割合を占めています。この中に配合される成分は、その全体量が大きく変わらなければ、数が多くなるほど個々の配合量は薄くなっていきます。
わかりやすく説明しましよう。➀90ccの水に対して食塩水を10cc加えたものと、②80ccの水に対して食塩水を20cc加えた場合、どちらも全体容量は100ccになります。ここで➀に加えた食塩水の濃度が10%で、②の食塩水の濃度が1%だった場合、できあがった食塩水の濃度はどちらが高くなるでしょうか。
答えは➀の濃度が1%になり、②は0.2%になるので、➀の濃度が高くなります。出来上がったものはどちらも「食塩水」と書かれても、濃度は5倍も開きができることになります。つまり原料の濃度が薄いものを数だけたくさん配合しても、期待した効果は得られないことになります。エキスの種類と数だけで、消費者には成分の濃度までわかりません。エキスの数が効果を保証するわけではないのです。
基材に白樺樹液を使うと
ところで基材が水の場合と白樺樹液の場合では、どんな違いがでるでしょうか。さきほどの例では、80~90ccの水にあたる部分です。水はただの水ですから、栄養価はありません。ところが基材が白樺樹液であれば、ミネラル、アミノ酸、ポリフェノール、ブドウ糖、多糖類などの栄養分を豊富に含んでいます。白樺が春に新緑と開花のために、大地から必要な栄養素を吸い上げた水分だからです。
この基材に、有効成分の植物エキスを濃度を保った状態で配合すれば、効果のちがいは明確になります。植物エキスは種類の多さより、植物のもつ特性を発揮できるように、目的にかなったものを、数を少なく濃度を保ったまま配合すれば、美容効果はより高くなるといえます。それはメーカーの企業姿勢にもあらわれるので、良心的なメーカーであるかどうかが、判断の助けになることでしょう。