全成分が表示されない医薬部外品の薬用化粧品
化粧品は2001年4月以降、全成分表示が義務づけられ、配合している成分はすべて配合量の多いものから順に、容器またはパッケージに記載することになっています。ただ、特別な効果をもつ医薬部外品として承認を受けた薬用化粧品は、有効成分だけを表示すればよく、それ以外の問題がある成分を使っていても表示義務がありません。特定の成分が肌に合わないことがわかっている人にとっては、成分の有無を確認できず、肌トラブルを起こしてしまうケースがあります。薬用化粧品だから効果があるはずだと信じて、思わぬ結果を招かないようにしなければなりません。
たとえば最近もてはやされている美白化粧品は、すべて薬用化粧品になっています。その表示に「成分」と書かれていれば、それは「全成分」ではなく一部ということです。それ以外に表示されていない成分も含まれていることを意味します。
以前は、旧厚生省が指定した強いアレルギー性のある102種類の成分のうちで、使っているものだけを表示すればよかったのです。ところが全成分表示になったことで、表示される成分の数だけが大幅にふえて、消費者にはかえってわかりづらくなりました。1%未満のものと着色料だけは順番ではなく、末尾にまとめて記載されています。
効果効能が表現できる
医薬部外品としての薬用化粧品は、医薬品と化粧品の中間に位置します。医薬品には当然ながら疾病の治療、予防の効果が求められます。医薬品には薬理作用のほかに副作用のリスクがあり、薬事審議会で審査され、認可されたものだけが医薬品として流通します。これに対して化粧品には、医薬品のような効果は求められません。化粧品とは「人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、また皮膚もしくは毛髪をすこやかに保つ」ものと定義され、効果を表現することも厳しく制約されています。ところが医薬部外品になると、女性の関心をひきつけられるうたい文句や効果効能を、コマーシャルやパンフレットに堂々とうたうことができるようになります。
リスクが隠せる薬用化粧品
薬用化粧品は人体に対する作用がおだやかであり、「美白」「アンチエイジング」「しわの改善」「ふけを防ぐ」「肌荒れ」「ニキビやそばかす」「かゆみ」など、効果効能をうたうことができます。特定の有効成分を登録さえすれば、薬用化粧品として効果をうたえるので、薬用化粧品が多くでまわるようになったのはこうした背景からです。全成分を表示する義務がないので、安全性を少々犠牲にしても、効果を感じられるような成分を配合して、消費者の支持を得ようとする傾向が強まっています。さらに植物エキスを配合することで、合成界面活性剤を使っていても、安全であるかのようなイメージをアピールする商品もあらわれています。こうして薬用化粧品では効果が強調されながら、リスクが隠されてしまう傾向にあります。
薬用化粧品でも、別に定められたアレルギー性の強い182種類の成分だけは、使っていれば表示する義務があります。その中には旧厚生省が指定したアレルギー性の強い102種類の旧表示指定成分もほとんど入っています。それらは配合できる量に規制があるなど、毒性が強いことを示しています。また表示指定のない成分にも、有害な成分がたくさんあります。薬用化粧品には未知の新成分が使われることが多いのですが、どんな成分を使っていても企業秘密であり、予測できないリスクが隠されている可能性があります。
肌トラブルが起きても自己責任
万一、どんな事故が起きても行政は直接的に責任をとらない仕組みになっています。規制緩和の結果、すべては企業の自己責任になったからです。仮に肌トラブルになっても、企業が賠償に応じないかぎり、その代償は消費者自身がはらわなくてはならないわけです。
数年前にK社の美白化粧品が白斑事故を起こして世間に大きな衝撃をあたえました。これはまさに美白を売り物にした薬用化粧品でした。ところがその成分がメラノサイトを破壊して色素を作り出せなくなり、白斑事故になったのです。もとをただせば天然の白樺樹液から美白成分をみつけだし、それを化学的に合成してロドデノールと名づけ、100倍の濃度で配合していたのでした。美しくなろうと夢見て被害にあった消費者にすればまさに晴天のへきれきだったはずです。合成成分を使った薬用化粧品には、一定の効果はみとめられるとしても、その反面に肌や健康にとって大なり小なり、こうしたリスクがあることを承知して使う必要があるのです。
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